「もう更年期だから仕方ない。」20年以上、女性の体と向き合ってきた中で、この言葉を何度聞いてきたかわかりません。
もちろん、更年期はホルモンバランスの変化によってさまざまな症状が現れることがあり、つらい思いをされている方もたくさんおられます。
でも私は、もう一つ大切なことを感じています。それは、心の持ち方が体の感じ方に影響することがあるということです。
以前、母に「お母さん、更年期ってあった?」と聞いたことがあります。すると母は、「そんなもんなかったなぁ。」とあっさり答えました。横で父は、「しんどそうな時期はあったやろ。」と言いましたが、私の心には母の「なかったなぁ」という言葉が残りました。
「そうか、更年期があっても、あまり気にならずに過ごす人もいるんだ。」
そう思えたことで、私は「年齢が来たら必ずつらくなる」と思い込まずに、その時期を過ごすことができました。
ある日、お客様が「急いで歩いて止まったら、急に汗が出てきて…。これ、更年期でしょうか?」とおっしゃいました。
私は思わず、「急いで歩いて止まったら、誰でも汗は出ますよ。」とお伝えしました。
するとお客様は、「そうやんな。周りが何でも更年期、更年期って言うから、私もそう思い込んでしまってた。」と笑われました。そして後日、「あれから気にならなくなったんです。」と話してくださいました。
もちろん、これはすべての方に当てはまる話ではありません。更年期の症状で本当につらい思いをされている方もおられますし、必要な治療や医療機関への相談が大切な場合もあります。
ただ私は、整体師として20年以上多くの女性と関わる中で、「こうなるもの」と思い込むことが、不安を大きくし、体の不調をより強く感じさせることもあると感じています。
「もう年だから。」「更年期だから。」「仕方ない。」
そんな言葉で、自分の可能性まで決めつけてしまうのは、少しもったいない気がするのです。
年齢は誰でも重ねます。でも、不調まで受け入れなければならないわけではありません。
体の声を丁寧に聴き、必要なケアを続け、一つひとつの不調を乗り越えていく。その積み重ねが、不調の沼に入り込まないための大切な力になると私は信じています。
これは更年期だけの話ではありません。肩こり、腰痛、疲れやすさ、眠りの質など、さまざまな不調にも共通することだと思います。
体だけを見るのではなく、その背景にある心にも目を向けること。だから私は、整体だけでなく、その方の気持ちにも寄り添うことを大切にしています。
心が変わると、体の感じ方が変わることがあります。そして体が変わると、心もまた前向きに変わっていきます。
私は、その両方に寄り添える整体師でありたいと思っています。